研究課題/領域番号 |
06801002
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
哲学
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研究機関 | 九州芸術工科大学 |
研究代表者 |
松田 毅 九州芸術工科大学, 芸術工学部, 助教授 (70222304)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1995年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1994年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
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キーワード | ライプニッツ / 自然言語 / 意味論 / 記号の恣意性 / アダムの言語 / ポストライプニッツの言語哲学 / 言語哲学 |
研究概要 |
「ライプニッツの自然言語論」では取り上げられることの少ない自然言語を軸に、意味論の問題を、一方では、比較言語学や語源学、他方では、認識論との関連で考察した。その結果、「構造的類比」の意味論を土台とした言語哲学と「コンセプチュアリズム」の形而上学との対応を確認すると同時に、多様な自然言語が科学の目指す「実在」の表現へと「進化」する可能性の根拠がそこにある点を指摘した。報告書では、これらに関連する論点として、アリストテレスからソシュールに至る「記号の恣意性」のテ-ゼとそれに対するライプニッツの見解、「アダムの言語」のふたつの解釈-オノマトペ的起源の言語と普遍記号学-の長短、語の「翻訳不可能性」を例に言語相対主義と「自然言語のモナドロジー」の対立の諸問題に触れて、自然言語論と認識論そして形而上学との関連を示した。また、構造的類比の意味論が、普遍記号学のような人工言語論でも重要な役割を担っている点に言及した。 報告書では、同時に、ライプニッツ以前・以後の言語哲学の影響作用史の解明も試みた。なかでも、カント哲学およびドイツ観念論に対する言語論的批判に含まれるライプニッツ的要因とその視界の変動とを焦点として考案するために、ハーマン、ヘルダー、フンボルトなどの言語哲学の研究にかかった。研究はまだ十分ではないが、ハーマンの場合のカント認識論への「メタ批判」に含まれるライプニッツ的着眼点、またヘルダーの『言語起源論』の反「恣意性」のテ-ゼやそのロマン主義的言語論への動きを確認するとともに、フンボルトの言語への関心が、人間の言語性に関する人間学的構想に端を発しており、そこに超越論哲学の言語論的転回の先取りを見うることなどを示した。今後の課題は、こうした広範な関心に支えられたライプニッツの言語哲学を現代の文脈で把握すること、特に、ポスト・ライプニッツでは希薄になった科学への記号学的・言語哲学的アプローチに取り組むことである。
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