研究課題/領域番号 |
06801008
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
美学(含芸術諸学)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
加藤 幹郎 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (60185874)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1994年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 映画 / プロパガンダ / 戦争映画 / アメリカ映画 / マスメディア |
研究概要 |
(1)本研究は、人類が初めて経験した近代総力戦中に大衆を想像力と神話の水準で操作教育する映画戦がいかに政策決定者と映画産業の協力のもとに開発されたかを、その歴史と構造の両面から調査分析するところに特徴がある。(2)映画は大衆娯楽といわれるが、第二次世界大戦の総動員体制下にあって、映画というマスメディアはきわめて有効なイデオロギー装置として機能した。映像というマスメディアが、大衆が敵国に抱くイメージをどのように形成し、また自国の危機存亡のさいに個人が取るべき行動をいかに教育したのか、(3)以上の観点に立った本研究は、政治と娯楽装置の関係、大衆による神話的想像力への依存度、大衆操作の美学的方法、大衆と知識人階級による映画のプロパガンダ性に対する反発と順応と利用、そうした複合点を解明した。 具体的にいえば、太平洋戦争中に製作された日米双方のプロパガンダ映画を比較分析することによって、(1)近代総力戦という国家存亡の有事のさいに、いかに大衆娯楽装置たる映画が大衆の想像力とイデオロギー操作の効果的道具として利用されたか、その構造と歴史を解明された。そして(2)プロパガンダ戦を計画指揮した政策決定者と、その組織に組み込まれた映画産業構造の日米双方の差異を分析することによって、日米間の戦争遂行方法の質的差異が解明された。最後に(3)プロパガンダ映画の観客たる日米双方の大衆が実際それぞれプロパガンダ映画をどのように受容したのか、つまり製作者側の意図は、その対象たる観客にどのような実質的波及効果をもたらしたのかが解明された。(4)以上三段階の分析ののちに、日米間の国家的アイデンティティと大衆の想像力の様態の差異が分析解明された。
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