1.現代ドイツの文化のなかで、ドイツ語を母語としない作家の作品が、ドイツ文学として一定の認知を得ていることを確認した。 2.それらの作品で扱われるテーマは、ドイツにおける外国人の状況にもはや限定されない。その意味で「外国人文学」というカテゴリーは意味を失いつつある。 3.ただし、それを受容するドイツ人読者の側では、本来ドイツ文化に属さない者が書いた作品という意味で、「外国人文学」という意識は根強い。 4.「ドイツ文学」に属するかどうかという基準は、宗教的基準(キリスト教とイスラム教の対立)にしたがって求められる傾向がある。これは、異文化を「原理主義」として排斥する、ヨーロッパ社会に広まりつつある傾向と関連していると考えられる。
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