戦前日本の総合商社は、日本国内と世界各地に支店網を張り巡らし、商品相場、売れ行き、生産、金利、新製造法(特許)などに関する情報を収集していた。本研究では、この総合商社に焦点をあて、第1に、商社がどのような情報網を形成し、どのような情報を収集し、これを伝達したのか、第2に商社が形成した情報収集・伝達網が商品取引などをどのように変化させるに至ったかを分析した。そのさい、とくに三井物産に焦点をあてて分析をおこなった。 具体的には、財団法人三井文庫で三井物産の内部資料を閲覧し、三井物産の情報網と情報の伝達について分析をおこなった。その結果、利用媒体、情報の機密保持と情報コスト削減の方法、情報収集の方法、情報の処理・分析組織の形成などに関して、かなりの程度まで実態を明らかにすることができた。また、収集された情報が商品取引や組織のあり方に与えた影響などについても、分析を深めることができた。 上記の三井物産の分析を補強するため、三井物産を含む総合商社一般の資料に関して、名古屋、京都、大阪の大学図書館ないし公立図書館で資料調査をおこなった。また、情報に関連する図書を購入し、分析に役立てた。
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