研究課題/領域番号 |
06805013
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
設計工学・機械要素・トライボロジー
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大前 伸夫 大阪大学, 工学部, 助教授 (60029345)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1994年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 電界イオン顕微鏡 / 水分子 / 原子構造 / 表面拡散 / マイクロトライボロジー |
研究概要 |
個々の原子を直視する分解能を有する電界イオン顕微鏡(FIM)を用いて、タングステン表面に吸着する水分子の構造を解明するとともに、水分子の表面拡散速度を計測した。マイクロマシンの動作特性に関しては水吸着の影響が最も大きいとされているが、吸着から成長の過程はもとより、固体表面での水分子の構造についてはほとんど明らかにされていない。FIMに特有な現象であるウォーターエッチは鏡筒内の汚染として旧来から好ましいものとされていなかったが、本研究では逆にこれを利用して水分子構造を解析するというセレンディピティ的発想に基くものである。先端曲率半径を10nm〜20nmに電解研磨を施したタングステンの原子構造10^<-7>Pa以上の超高真空中で観察した後、バリアブルリ-クバルブを通して水蒸気を0.01L導入し、水分子吸着サイトを観察したところ、{310}面、{210}面が最優先サイトとして働くことが判った。徐々に水蒸気の露出量と増加させていくと、{100}面及び{112}面晶帯を中心に水分子の吸着が顕著となり、最も仕事関数の大きい{110}面への吸着は数Lの露出まで生じないことが認められた。このような吸着形態は本申請者らが酸素及び水素を吸着させた実験結果とほぼ等しい。ただし、水分子の場合は分極によるこうかが極めて著しいものと考えられ、水分子はタングステン原子上に強固に吸着する。その表面拡散速度はタングステン針状試料の曲率には依存せず、約3×10^<-9>m・s^<-1>と極めて遅いことがCCDカメラを用いて動的観察結果から求められた。固体表面近傍の水の粘度が10^4〜10^7pであるという報告や、本申請者が昨年度科学研究費、一般研究(C)において認めた隣接水構造の疑似固体的な特性を考え合わせると、本研究の結果は改めて水分子吸着とそのスティクションがマイクロマシン等のオペレーションに多大の影響を及ぼすことが明らかとなった。
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