研究概要 |
申請の研究では,エンジンが発生する音並びに異音の解析を行い,エンジンから発生する音からエンジン等の異常を検知することを目指し,特に以下の点について研究を行った. (1)エンジンが発生する各種の音(燃焼ガス圧による音,ピストン・クランク系に発生する音,動弁系に発生する音等)を分離してその特性を求める.解析には非定常信号の解析に有効なウェーブレット変換を用い,発生する音をそれに含まれる周波数成分と各周波数成分の時間的な変化として捉える.この変化のパターンにパターンマッチングの手法を適用して音を発生原因別に分類する. (2)エンジンの各部に異常が発生した場合に異常を起こした場所を特定する.解析には正常な場合と同様にウェーブレット変換を用い,周波数軸と時間軸によって表現されるパターンの違いから異常が発生した場所の特定を試みる. 実験では,単気筒エンジンを対象に,各種の異常(異常燃焼,動弁系の不具合等)が発生した場合の特性を求め,正常な場合と比較した.また,エンジンを通常のとおり燃焼爆発によって回すばかりではなく,モータ等によって回すことにより特にピストン・クランク系に発生する音,動弁系に発生する音の特性を詳細に求めた.この結果,(1)エンジンを正常な状態で回した場合のエンジン音(爆発音,タペット音等)のパターン(特徴)をウェーブレットによって表現することができ,それぞれの音を区別することが可能となった,(2)いくつかの異常が発生した場合の音の特徴をウェーブレットによって表現することができ,正常な場合との違いを求めることが可能となった. なお,これらの解析にはウェーブレット変換を用い,得られた周波数軸と時間軸のパターンからパターンマッチングの手法や多変量解析の手法を用いて各種の特性を求めた.
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