研究概要 |
本研究はコンクリートの圧縮強度の変動のデータ収集とコンクリートと砂の強度変動の分岐理論によるデータ整理を行った。以下にその研究実績の概要をまとめる。 コンクリートの圧縮強度に関しては,分岐による強度変動を抽出するために,同一寸法・同一材料のコンクリート供試体の圧縮破壊実験を各ケース20回程度繰り返し行ない,骨材の粒度が分岐特性に及ぼす影響を調べた。骨材としては均一径のガラスビーズを用い,粒径は0.5mm,1.0mm,2.5mmの3種類を用いた。分岐理論によるデータ処理の結果,骨材の粒径が細かい程,分岐の影響が支配的になり,破壊の影響が小さくなるという傾向を明らかにできた。次に水セメント比を26%,35%,62%と3種類代えて行った結果,水セメント比が大きい程分岐の影響が支配的になることが判明した。 砂の三軸せんだん強度に関しては,豊浦標準砂の三軸圧縮試験を同一条件で50回繰り返し行い,最大応力,応力〜ひずみ関係等を計測した。本理論は破壊モードが同一の場合にしか適用できないので,各実験毎に破壊モードのスケッチと写真を撮ることにより,破壊モード毎に分類した。本理論によりデータ処理した結果,破壊モード毎に分類したデータは理論と非常によく整合しており,砂のせんだん挙動が分岐現象であることを検証できた。また破壊モードの観察からこの挙動が多段階の分岐現象であることを示せた。
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