研究課題/領域番号 |
06805064
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
材料加工・処理
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
林 宏爾 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (30011109)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1994年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | バリスター / 金属 / アルミニウム / 酸化物皮膜 / 非直線性導電性 |
研究概要 |
現在、多用されているZnO基バリスターの導電メカニズムによれば、半導体であるZnOのかわりに導電体である金属を用いても、結晶粒界部に高い電気抵抗率(ρ)の薄層を存在させることにより、同じくバリスター特性が発現する可能性があると思われたことから、本研究では、アルミニウム粉の粒子表面には高いρの酸化物皮膜が存在していることに着目し、リン片状アルミニウム粉(厚さは0.3μm、2次粒子径は44μm;Al_2O_3皮膜の厚さは7nm)の焼結体(直径10mm×厚さ1〜4mm)がバリスター特性を示すかどうかを検討した。その結果、(1)本焼結体は、低電圧の下では極めて高いρ(5×10^6Ω・m以上)を示し、電流は10^<-7>A以下であったが、ある電圧(V_B;試片厚さが1〜4mmでは50〜130V)以上では、大気中放電が関与するものの、電流は10〜10^3Aへ急増した。(2)V_B以上の電圧を印加した後の、低電圧域におけるρは10^<-3>〜10^<-1>Ω・mへ減少し、かつV_Bもほぼ消失した。すなわち、本焼結体は一回のみ、大気中放電を伴うものの非直線導電性を示し、その後はほぼオーム性になるという、独特の電圧-電流特性を示した。(3)電極のみを対置させた場合の大気中放電開始電圧は、上記の通常試片のV_Bよりも著しく高い3.6×10^3〜8.8×10^3Vであった。そして、電圧の印加方向と直角に薄い絶縁層を試片中央部に介在させた試片(厚さは4mm)のV_Bは通常試片の値よりかなり高い240Vであり、かつ電流サージ-印加後も試片前の高いρ(約5×10^6Ω・m以上)を保った。そこで、通常試片では、電流は、V_B以上ではまず試片を流れ、次にこれに誘発されて大気中放電も開始するものと見なせた。(4)通常試片において、V_B以上の電圧印加後は低電圧域のρが減少すると共にV_Bが消失したのは、通電部がジュール熱によって高温となりAl_2O_3皮膜の一部が凝集して金属Al同士の接着が生じたためと思われた。
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