ポリアニリンを分散質に用いた電気粘性流体が有する種々の問題の解決を目的として、ポリアニリンを被覆及び複合粒子と誘導体など各種の分散質粒子を合成して、その電気粘性効果及び分散性の評価を行いポリアニリンと比較するとともに電気粘性効果向上への検討を行った。まずポリアニリンを用いた各種の有機及び無機の微粒子を用いて、被覆及び複合化を行ってポリアニリン被覆及び複合微粒子を合成した。特にポリスチレン系のコポリマーラテックス粒子にポリアニリン被覆したPAn/CoPSとポリアニリンとポリスチレンのブレンド複合体であるPAn/PStにおいては電場下で大きな粘性変化を示し、非水系高温においても良好な効果を示した。次に構造と電気粘性効果についてポリアニリン骨格を修飾することにより評価を行った。ポリアニリン構造中に含まれるキノンジイミン構造が必要である、又N位をアシル置換したポリアニリンN-アシル誘導体は高い電気粘性効果を示すことが明らかになった。ス置換率とその示す電気化学活性との関連を検討し、サイクリックポルタモグラム測定を行って参加還元電位を決定した。その結果置換率の低いル-アシル化誘導体は電気化学的に活性であり、高置換率になるにつれて電気化学活性が失われることが明らかとなった。又電気粘性効果は電気化学活性のあるN-アシル化率の低いポリアニリン誘導体に限って発現することが分かり、電気化学測定が電気粘性効果の評価に当って有効な測定手段であることが判明した。また分散溶媒に対する界面活性剤の添加効果を検討した所、界面活性剤の添加による電気粘性効果の向上が認められ、応答速度も早くなることが認められた。この結果、N-アシル化ポリアニリ誘導体、ポリアニリン被覆及び複合微粒子を分散質に用いた電気粘性流体に界面活性剤を添加する事で、電気粘性効果を向上し分散性を向上させる事が判明した。
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