研究概要 |
平成6年度よりSCIDマウス移植系EBV陽性リンパ腫株30例の宿主細胞へのEBV genome取り込みについての検討を行った.まず,それぞれの検体から抽出したDNAを3種類の制限酵素で切断後,3%Nusieve GM soft agar gelで電気泳導し,1 kilo-base以下の長さのDNAを再抽出した.それをtemplateとして,6種類のAlu配列と3種類のterminal repeatのprimerを使用し,すべてのprimerの組合せでPCR増幅した.その結果,3例に400-700bpsの長さのsingle bandが検出された.直ちにsequencingを行ったところ,そのsequenceはAlu配列の部分とterminal repeatの約18塩基対までは同じ配列であったが,terminal repeat 3′側ではEBVterminal repeatにない配列であった.数回,実験を繰り返したが同様の結果であった.そのような状況で,平成6年度と7年度の半ば頃まで時間を費やしてしまった. 平成7年度の後半から,Gulley等の方法(Cancer70:195-191,1992)に準じて宿主細胞へのEBV genomeの取り込みを検討しようとしたが,必要なprobeが入手できず,その後の研究は進展していない. 平成6年度はじめより,それまで研究してきたEBVの知識と技術を応用し,EBV陽性胃癌の発癌過程を解析し,Journal of Pthologyに発表した.また,EBV陽性胃癌におけるEBV genotypeの検討をし,EBVの発癌過程の解明の一助となし,現在,Journal of Pathologyに投稿中である.時を同じくして,HPVの発癌における役割についても検討を加え欧文医学誌に発表した.
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