研究概要 |
好塩基球のIgA依存性脱顆粒を検討するため、まずIL-3の存在下、非存在下にて好塩基球を各種の抗IgA抗体で刺激しhistamine遊離を検討したが有意な遊離は認めなかった。またIgA-抗IgA immune complexで刺激しても同様に遊離を観察しなかった。ついで分泌型IgA(sIgA)をsepharose beadsに固相化しIL-3の存在下、非存在下にて好塩基球を刺激した。IL-3の非存在下では遊離も認めなかったがIL-3存在下ではbeads/cell比に依存性にhistamine遊離が観察され、最大遊離は約15%であった。IgGを固相化した場合は何等遊離を認めなかった。またatopic donor,non-atopic donor間に遊離の差は認めなかった。sIgA依存性の好塩基球脱顆粒は時間依存性であり、30分でplateauに達した。sIgAを酵素処理してFc,Fab部分に切断し、それぞれbeadsに固相化して検討したところFc部分に遊離誘導が認められ、Fab部分には認められなかった。Percoll遠沈とnegative panning selectionを併用し90%以上に精製した好塩基球を用いてもsIgA依存性の遊離を認め、sIgAは好塩基球に直接作用すると考えられた。Pertussis toxin処理にてsIgA依存性脱顆粒は抑制されsignal transductionの経路にはPertussis toxin感受性のG蛋白の介在が推測された。また好塩基球を抗IgEとFcα受容体抗体で二重染色しEPICS解析することにより好塩基球表面にFcα受容体の存在を確認した。以上の結果より好塩基球がFcα受容体を介し脱顆粒を起こす機構の存在が確認された。
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