研究概要 |
新レンサ球菌が川崎病児のみから検出される事実は流行年度によって変るということではないことを示唆している。新プロテアーゼと思われる特異抗原が患児特異的に病因因子の一つとして関与することが明らかとなった。 1.表層抗原に対するポリクローナル抗体を用いてコロニー(凝集)スクリーニングを先ず行い,絞り込まれた株の表層を酵素処理しウエスタン法で特異抗原かどうか再確認するという方法で,陽性株検出の再現性を他施設でも証明できた。 2.DNA-DNA相同性・16sRNA遺伝子配列・生物型特性の解析のみならず,特異抗原を患児急性期血清中に再現性よく検出できた成績から,本菌が原因菌であると考えられた。 3.新DNA型であることの証拠は,近縁の口腔フローラと温度を変えて比較再検討され,確かなものとなった。 4.16sRNA遺伝子の塩基配列は1540まで解読され,7ケ所の塩基配列置換がみいだされた他,そのうちの5ケ所は特定の制限酵素による切断部位の消失あるいは出現によることが知られた。 5.現在新流行株(20株以上)のRFLP診断が進んでおり,さらに抗原のアミノ酸N末配列及び諸抗体を駆使してのcDNAのクローニング及び病因諸抗原に対する治療用特異抗体の開発に向けて共同研究を展開している。 6.早期に病因抗原を血清中に検出するための,モノクローナル抗体を用いたアツセイ系の作成を急いでいる。
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