研究課題/領域番号 |
06807076
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
放射線科学
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研究機関 | (財)東京都老人総合研究所 |
研究代表者 |
石渡 喜一 (財)東京都老人総合研究所, ポジトロン医学研究部門, 主任研究員 (50143037)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1994年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | ヘキサン酸 / 脳 / 代謝 / ポジトロン断層法 / 放射性薬剤 |
研究概要 |
ポジトロン断層法(PET)による心筋や脳の脂肪酸代謝を評価する新しい放射性薬剤としてのC-11ヘキサン酸(HA)の可能性を、[^<18>F]フルオロデオキシグルコース(FDG)による糖代謝とTCAサイクルに入る[^<14>C]酢酸(AA)の代謝との関連から検討した。 (1)短時間かつ効率的なHAの合成法を確立した(発表1)。(2)マウスの心筋においては、高い摂取率と急速な消失が絶食時に亢進した。また、低酸素状態では糖代謝は著しく亢進し、HAの摂取率はやや低下した。これらは、脂肪酸のβ-酸化を表すトレーサーとなる可能性が示すが、心筋の摂取率はC-11パルミチン酸などの長鎖脂肪酸に比べ低かった。AAには、このような傾向は認められなかった(発表2)。(3)HAはマウス脳へ、FDGの約1/2、AAの約2倍取り込まれ、PETによる脳の画像化は可能と考えられた。HAの放射能は、投与3〜5分後に最大となり以後徐々に減少した。また、非放射性のHAを負荷すると、投与直後より放射能の減少がみられた。3日絶食のマウスにおいては、脳のHA摂取率は亢進した。また、炭素鎖4、6および8の脂肪酸によりHAの血液脳関門の通過が特異的に抑制された。これらの事実は、HAが中鎖脂肪酸特有の機構により脳へ取り込まれ、脳内で酸化されていること示している(発表準備中)。(4)PETによりネコ脳でのHAの動態を検討したところ、投与後の初期の放射能減少ののち、再び放射能の集積が認められた。これに伴い血漿中には^<11>C標識CO_2/HCO_3^-と未同定の代謝物が著しく増加することがわかった。これは、HAの代謝物(主に^<11>C標識CO_2/HCO_3^-)のクリアランスに種差の影響が現れたと考えられる(発表準備中)。 以上の結果は、HAが脳でTCAサイクルを経て代謝されていることを示しているが、PETによる脳代謝の新しい診断薬としては、代謝物の影響を十分に考慮しなければならないことを示している。心筋に診断薬としては、中大動物を用いたPETによる更なる検討が必要と思われた。
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