研究課題/領域番号 |
06807077
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
精神神経科学
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
田中 達也 旭川医科大学, 医学部, 助教授 (20108715)
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研究分担者 |
米増 祐吉 旭川医科大学, 医学部, 教授 (30038666)
国本 雅之 旭川医科大学, 医学部, 助手 (70250579)
橋詰 清隆 旭川医科大学, 医学部, 助手 (00250580)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1994年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | Pontine reticular formation / Kainic acid / Oeueralized seizure / Autoradiography / Focal seizure |
研究概要 |
定位脳手術を行い、脳橋網様体にカイニン酸注入用のカニューラを刺入し、さらに視床および大脳皮質感覚運動領に電極を刺入して慢性ネコを作成した。術後7日以上経過してから、カニューラの内筒を介して、カイニン酸を1μg注入した。行動および脳波の変化はVideo-EEG monitoringに記録し詳細に観察した。注入後30分経過すると、注入部の脳橋網様体にスパイク波が出現し、focal seizure statusとなった。猫は、注入側の後上方に首を進展しじっとしている奇妙な体位を示した。約1時間後には、大脳皮質感覚運動領に発作波が伝播し、全般発作の重積状態となった。発作は約10分おきに出現し、常に再現性をもって、首の注入側後方への伸展、左への数回の回転および上肢に伸展発作で終了する奇妙な二次性全般化発作を示した。病理学的検査では、カイニン酸注入部の脳橋網様体のpars gigantocellularisに、約2-3mmの壊死巣を認めた。以上の結果より、脳橋網様体の過度の興奮は、脳波上は、focal seizureからgeneralized seizureに至る二次性全般化発作の重積状態を誘発した。しかし、行動上の変化は、ipsilateral tonic head turningが主体であり、発作が大脳皮質に波及すると同側への回転と最後に上肢のtonic extension が認められた。我々が、これまでに報告した脳幹網様体のカイニン酸焦点の場合の速やかな全般化発作の発展の場合と異なり、脳橋網様体の興奮時の働きは発作の促進よりも、姿勢の保持が主な作用であることを明らかにした。得られた実験結果を脳代謝の面から検討するために、ラットの脳橋網様体にカイニン酸誘発焦点を作成し、発作重積時にautoradiogramを作成した。結果は、まだ1匹の画像しか得られていないが、脳橋網様体にカイニン酸誘発による高代謝域があり、この高代謝域は、上丘、同側の海馬、視床網様核、中隔野に認められた。1匹の結果より結論は得られないが、脳幹網様体の発作の速やかな全般化に比較して、脳橋網様体は明らかに異なる作用を持つことを明らかにした。
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