研究概要 |
従来の我々の再生不良性貧血,骨髄異形成症候群(MDS)についてのエリスロポエチン(EPO)大量使用成績を症例を増やして検討するために国内58施設の共同治験を行って,その成績をまとめた.週3回12000単位のEPO静注を8週間継続して,輸血症例では必要輸血量が1/2以下に減少したもの,非輸血症例ではHb値が1g/dl以上増加したものを有効例と判定した.その結果,再生不良性貧血については10/23例(43.5%),MDSについては13/49(26.5%)に有効例が認められた.有効例については,EPOの持続使用により16週までの観察で有効性の持続が確認された. 次いで,EPOとG-CSFの併用療法について検討した.EPOは120-480U/kg,G-CSFは5-15μg/kgを週3回使用した.その結果,再生不良性貧血の7/13例(54%)に貧血改善が見られた他,血小板についても5/13例(38%)に改善が認められた.MDSについても,4/7例(57%)に貧血改善効果と3/7例(43%)に血小板改善効果が認められた.好中球数改善効果は再生不良性貧血について92%,MDSについて100%に改善効果が認められた. 成績を精査するとEPO単独使用については,投与前の血中EPO濃度の低いものに有効性が見られる傾向はあるが有意差は認めなかったが,EPO,G-CSF併用群では,有効例の血中EPO濃度の中央値1450mU/mlに対し無効例のそれは4410mU/mlと統計的に有意差が認められた.またEPO単独,EPOとG-CSF併用療法のいずれについても有効例では貧血の改善効果に先行してMCV値の増大が認められる傾向が明らかであった.さらに併用群については多血球系の改善効果が明らかとなるには長期間(1-28ケ月-中央値8ケ月)の連続使用が必要なことが明らかとされた. さらに症例を増やして詳細を検討するために,全国109施設でのG-CSF単独,EPO,G-CSF併用群についての治験を実施中であるので,その成果が期待される.
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