研究概要 |
Mixed Lymphocyte Culture(MLC)を用いたin vitroの検討でいくつかの新しい知見が得られた。 1.MHC class II抗原が異なるリンパ球同志のMLCでは,MHC Class II抗原が同一のMLCに比較し,上清中に分泌されるIL-1β,IL-2,IL-8,IL-10,TNFαが有意に増加し,さらにCD4/CD8およびIL-2Rの発現が増加した。 2.MHC class II抗原の差異によるこれらサイトカン産生パターンの変化およびリンパ球膜表面抗原の変化は,抗炎症性サイトカイン物質であるIL-1raあるいはTNFbp(可溶性TNF受容体)の添加により有意に抑制された。またメチルプレドニゾロンの添加によりIL-1β,IL-2,IL-8,TNFαの産生が有意に抑制された。 3.IL-1ra,TNFbp,メチルプレドニゾロンはそれぞれ特異的にMLC上清中のサイトカイン産生パターンを変化し得ることが明らかになり,拒絶反応を構成するサイトカインネットワークにおけるIL-1およびTNFなどの炎症性サイトカインの重要性が示唆された。 以上のin vitroの検討をもとに,IL-1raおよびTNFbpによる拒絶反応制御の可能性が明らかにされ,現在,ラット肝移植モデルでの効果を検討中である。
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