研究課題/領域番号 |
06807111
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
脳神経外科学
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
多田 剛 信州大学, 医学部・脳神経外科, 講師 (00236530)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1995年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1994年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 交通性水頭症 / TGF-beta1 / くも膜下出血 / 脳脊髄液 / 正常圧水頭症 / C57 / BL6 / TGF-β1 / 水頭症 / TGF-β / クモ膜下出血 |
研究概要 |
われわれはクモ膜下出血時に髄液中に放出される血小板由来のTGF-b1の生理的役割を調べるためにTransforming growth factor beta1(TGF-b1)をC57BL6マウスのクモ膜下腔内に注入した。マウスの脳室系はTGF-b1注入後3週以内に拡大しはじめ、マウスの体重は注入後6週で増加しなくなった。組織学的検討では著しい脳室拡大にもかかわらず各脳室出口に解剖学的な閉塞は認めなかった。電子顕微鏡による観察では、脳室上衣のcilliaの減少が見られhuman recombinant TGF-b1でマウスに交通性水頭症が誘導できることが照明された。より人のくも膜下出血に類似した環境でのTGF-b1の役割を調べるために、同種マウスの血清と血漿をマウスのクモ膜下腔内に注入したところ、血清のみで交通性水頭症が誘導され、これは人型抗TGF-b1抗体にてブロックすることができた。 さらにTGF-b1がクモ膜下出血後に発生する交通性水頭症の発生に関与しているか否かを臨床的に調べるために24例のクモ膜下出血患者の髄液中TGF-b1濃度をELISA法にて經時的に測定した。またWestern blot法にて髄液中の活性型TGF-b1の有無を測定した。その結果、交通性水頭症と診断され脳室腹腔短絡術(VP shunt)が行われた11例のTGF-b1濃度の第12-14病日の平均値は1.11±0.09ng/mlで、同時期のVP shuntを行わなかった13例の平均値の0.56±0.22ng/mlに較べ有意に高かった。(p<0.01)またWestern blot解析を行った症例では髄液中に25kdのTGF-b1を確認した。 以上よりクモ膜下出血後の髄液中のTGF-b1がクモ膜下出血後の交通性水頭症の発生に重要な役割をはたしていることが示唆された。
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