研究課題/領域番号 |
06807115
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
整形外科学
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
磯邊 靖 (磯邉 靖) 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (90176264)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1995年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1994年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 細胞融合 / 癌 / 悪性形質 / 治療 / 膜統合性 / 異種移植性 / 異種可殖性 / 赤血球膜 / ポリエチレングリコール |
研究概要 |
細胞膜の攪乱の臨床応用への可能性を検討した。細胞膜の攪乱の方法として赤血球膜との細胞融合を行なった。平成6年度の研究は、腫瘍細胞と正常体細胞との細胞融合が実現しうるか、また融合して膜に不安定性をきたしたはずの雑種細胞の増殖能、形態についての検討である。融合直後の形態は大型の球形の細胞が散見され、融合が成立していた。融合後の経時的変化をみると腫瘍細胞と赤血球が融合したと考えられる単核でやや大振りの腫瘍細胞は突起数が少なく、経時的観察のあいだに分裂増殖に向かう傾向がなく、余分の細胞膜を組み込むと腫瘍細胞は増殖能力を失うことが明らかになった。平成7年度の研究は、この結果をもとに骨軟部悪性腫瘍から樹立した株細胞を赤血球膜と細胞融合することにより、その悪性形質(無限増殖性、転移形成能、免疫抑制異種動物への可殖性)を減弱しうるかの検討である。in vitroでの観察では融合細胞には分裂過程に進む兆しはなく、7日間の観察では現場維持かまたは退縮のみが認められた。また観察中に盛んにブラの形成が一つの細胞で繰り返され、次第に細胞自体が縮小死滅していく様子も観察され、融合により物理的刺激にたいして極めて脆弱となっている可能性が示唆された。赤血球との融合は腫瘍細胞にとって致死的であり、確実に悪性形質の減弱が期待できるといえる。in vivoの悪性形質の代表である異種可植性は明らかに本処理によって低下している事がマウス移植実験から推測された。以上より腫瘍細胞株NBsusSRは赤血球細胞膜と細胞融合することで、細胞膜の統合性を攪乱され、悪性形質の減弱ないし消失という興味深い結果を得た。細胞融合という手段自体は、直接臨床応用に結び付けるにはあまりにその前に解決すべき問題が多い。現実的には腫瘍細胞膜の統合性を攪乱する、という新しい視点からの抗癌剤開発の可能性を示唆する結果を得たと解すべきである。
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