研究概要 |
1.高速顎運動測定装置,分析プログラムと下顎荷重装置の作製 圧電式加速度変換器とチャージアンプから成る高速顎運動測定装置を試作した。また,出力された加速度の信号を迅速かつ高精度に分析するシグナルプロセッサ用プログラムを開発した。さらに被験者の下顎に瞬間的に荷重するための定重量荷重装置を作製した。試作した高速顎運動測定装置を自作の校正装置により速度を変化させてその測定特性をみたところ,既在の顎運動測定装置と比べて時間精度に優れ,瞬間的な運動を測定するのに適した測定装置であることが確認された。 2.筋症状の定量的評価の試み 被験者には正常天然歯列者10名を用い、下顎に瞬間的に荷重した場合の受動的運動応答性を試作高速顎運動測定装置で記録した。次いで被験者に最大咬みしめを可及的長時間持続させることによる負荷を与え,咀嚼筋群の疲労を誘発させ,その負荷直後,1,2,3,4,5日後と回復まで同様の方法で受動的運動応答性を観察した。また,各測定日における自覚的な筋症状をVisual Analogue Scale(VAS)にて評価した。 その結果,一部の被験者では咬みしめによる負荷により引き起こした筋症状と連動して受動的運動応答性に変化が認められ,遅発性の疲労感があるときは瞬間的荷重をした場合に下顎が生じる加速度が小さくなる現象が認められるなど,筋症状を客観的に評価する指標の存在が示唆された。
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