研究概要 |
in vivo実験に先立ち、in vitroにおいて定量分析の条件を決定する必要があるため、本実験と同様な測定回路を組み、組織内に挿入する予定のプローブを既知の濃度のレジンモノマー(HEMA,Phenyl-P,4-META,Bis-GMA)溶液の中に、浸漬した。回収したレジンモノマーを、HPLCにて定量分析を行なった。しかし、潅流液として生理食塩水あるいは乳酸リンゲル液を使用する必要があり、これらの溶媒に対しレジンモノマーの溶解が容易でなく、定量が非常に困難であることが明らかになった。 そこで、方針を転換し、歯髄組織の炎症のメディエータであるヒスタミンに着目し、このヒスタミン濃度をリアルタイムで定量することにより、レジン等による外来刺激に対する歯髄の反応を見ることを考えた。in vivo実験に先立ち、再び本実験と同様な測定回路を組み、組織内に挿入する予定のプローブを技去歯牙に挿入し既知の濃度のヒスタミン溶液の中に、浸漬した。HPLC(OPA法)およびRIAにて潅流液中に回収されたヒスタミンの定量分析を行なった。こうして得られたin vitroでの回収率は、膜長4mmのCMA-10プローブを流速2ul/minで用いた場合、24.5%であった。これにより、マイクロダイアリシス法を用いることにより、従来は不可能とされていた歯髄内ヒスタミン濃度のin vivoにおけるリアルタイム測定の可能性が明らかになった。 この結果は、平成6年11月1日〜3日、鹿児島で開催されたICPAC(国際補綴学会アジア部会)のミーティングで発表した。本書類提出現在、さらに成犬5頭を実験に供し、麻酔下で、プローブを挿入し、ヒスタミンの定量実験を行っている。
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