研究概要 |
1.一般健常成人に対する急性低圧低酸素環境下における持久的トレーニングが脂質代謝に及ぼす影響に関する研究 高所に赴く一般健常成人男女11人に対し急性低圧低酸素環境下における持久的トレーニングを週当たり2回、9週にわたり実施し,トレーニングの前後及び帰国後の血中脂質を検討した。HDLは、トレーニング後に有意に増加した。LDLは帰国後に有意な低下を示した。これらの結果より、低圧シミュレーターを用いた急性低圧低酸素環境下での持久的トレーニングは、HDLの増大をもたらし、脂質代謝の改善に顕著な効果をもたらすことが認められた。 2.低圧低酸素環境への亜急性暴露(4時間滞在)が脂質代謝に及ぼす影響に関する研究: 一般男子学生6人を性低圧低酸素環環境(1000m、2000m及び3000m相当高度)へ4時間滞在させた時の血中脂質に及ぼす影響について検討した。中性脂肪は滞在中に漸減した。遊離脂肪酸は、高所滞在中に漸増し、低圧環境滞在時のエネルギー基質として遊離脂肪酸の動員が促進されたものと考えられ低圧環境での運動時の脂質代謝亢進の可能性が示唆された。 3.チョモランマ峰登山隊員に対する急性低圧低酸素環境下における持久的トレーニングが脂質代謝に及ぼす影響に関する研究 チョモランマ峰登山隊員9人に対して、急性低圧低酸素環境下における持久的トレーニングを行い、脂質代謝に及ぼす影響を検討した。3500mから6500m相当高度までの7高度条件で8週間にわたりトレーニングを行った。トレーニング後に,総コレステロールとLDLが減少し、常圧下の同様なトレーニングよりも、より少ないトレーニング回数および時間で脂質代謝を改善する可能性のあることが示唆された。 4.急性低圧低酸素環境下における持久的トレーニングが脂質代謝に及ぼす影響に関する研究-特に、トレーニング高度の差異に着目して- 急性低圧低酸素環境下における持久的トレーニングが脂質代謝に及ぼす影響を検討した。被検者を0m群、1000m群および2000m相当高度トレーニング群に5人ずつの3群に分け、計10回トレーニングを行った。HDLは各高度とも有意な変化を示さなかったが、2000m相当高度トレーニング群におけるLDLは、トレーニング後に著明に減少した。同様にVLDLも有意に低下し、同高度における脂質代謝改善の可能性が示唆される結果であった。
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