研究課題/領域番号 |
06808014
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
体育学
|
研究機関 | 国立健康・栄養研究所 |
研究代表者 |
田畑 泉 国立健康・栄養研究所, 健康増進部・運動生理研究室, 室長 (20188402)
|
研究期間 (年度) |
1994
|
研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
|
配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1994年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
|
キーワード | グリコーゲン / グルコース / 糖取り込み速度 / 筋収縮 / 骨格筋 / ラット |
研究概要 |
身体運動を行うと運動強度と運動時間に比例して筋肉中のグリコーゲン濃度が低下する。すると運動後には骨格筋の糖取り込み速度が増加し、消費されたグリコーゲンを補充する機構がある。この場合、運動後の糖取り込み速度の増加の程度が大きいほど、グリコーゲン濃度が増加する。グリコーゲンの筋肉内濃度が運動前の値より、高い値になることをグリコーゲンのsuper-compaensation(過補償:グリコーゲンロ-デイング)と呼ばれており、グリコーゲン濃度により競技成績が決定されるようなマラソン競技などでは競技力を向上させる重要な方法である。運動後のグリコーゲン合成速度は活動筋の糖取り込み速度により決定されている。したがって、本研究では、運動後の糖取り込み速度をできるだけ速くする運動方法(収縮方法)を明らかにすることを目的として実験を行った。 対象は透けて見えるほど筋層が極薄であり、酸素が容易に入り込めるので酸素化された培養液中では筋内部が酸素不足に陥らず、数時間培養しても筋内のATP及びクレアチン燐酸濃度が低下せず、生体内とほぼ同様な条件で実験できるラットの骨格筋epitrochlearisとし、この筋を試験管内で電気刺激し、収縮させ、その後、アイソトープを用いてブドウ糖の取り込み速度を測定した。ブドウ糖の測定は、^3Hで標識したブドウ糖類似物である3-methyglucoseを用いた。先行研究によると、試験管内の電気刺激による糖取り込み速度の最大値は、100Hzの刺激強度で10秒間、50秒の休息を挟んで10回強縮を行った後に観察されるということであった。これは、最大努力で10秒間、等尺性筋活動を10回行うような筋収縮様式である。これに対して、本研究では人間が速い速度の自転車運動を行う場合と同様の筋収縮形態である連続単縮によって、10回の最大等尺性筋活動とほぼ同じ程度まで糖取り込み速度が上昇させることができないかということを明らかにするための実験を行った。刺激頻度を変えて10分間の連続単収縮を行わせたところ、1Hzよりも2Hz,2Hzよりも3Hzが糖取り込み速度は高かったが、3Hzと4Hzでは有意差はなかった。これらの結果より自転車運動のようなより実際の運動形態に近い連続単収縮でも3Hz程度の高頻度で刺激を行うと、最大等尺性筋活動後と同じ程度の糖取り込み速度になることが明らかになり、グリコーゲンロ-デイング法として有効であることが明らかになった。 また、本研究によりリチウムを10mMの濃度で培養液中に入れると糖の取り込み速度が約2倍に増加することが明らかになった。これにより、より低い刺激頻度(運動強度)の運動後でもリチウムを併用すれば糖取り込み速度が高くなりグリコーゲンの過補償が容易になることが示唆された。
|