研究概要 |
認知カウンセリングは,個別学習指導を研究者自らが行なうことにより,基礎研究から示唆される教育方法の妥当性を検討すると共に,そのような実践活動を通じて抽出された問題を,基礎研究の中にとりこんで新たな研究の展開を目指すという試みである。 これまで東京工業大学において5年間にわたって行なってきた「学習相談室」の活動を東京大学に移し継続して実施した.ケース検討会は,東京大学において月に1回開かれる「認知カウンセリング研究会」(このメンバーの約半数は,学校の現職教師である)と,市川が毎週開講している学部生対象の「学習の相談と指導」というゼミで行なわれた.また,これらの検討会では学生が家庭教師として行なっている学習指導の事例も認知カウンセリング的な視点から報告された. 平成6,7年度に,合わせて約50件のケース報告があり,「学習への動機づけの高め方」,「学習方略,学習技能の診断と教授」,「学習者の理解状態の診断の技法」といったテーマについて議論された.また,漢字学習,英単語学習,英文解釈,図式表現による比率概念の学習などについて,コンピュータ・ソフトウェアを開発し,個別学習指導への応用の可能性を検討した.
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