人間は、目、耳、口、鼻により構成されている顔の情報によって日常的に個人認識を行っている。そこで本研究では、人物顔の部位(目、耳、口、鼻)そのものにも、個人認識を行える情報が現れていると考え、それら部位画像を用い、個人認識実験を行なった。 今回、識別対象を顔全体の画像ではなく、顔を構成する部位画像に絞り、生体の神経回路網モデル(ニューラルネットワーク)を用い検討を重ねた。 部位画像は、multi Video(今回導入した設備)を用い、ビデオカメラより、一定距離、同一照明下で取得した。取得した画像はワークステーションに取り込まれ、処理はすべてワークステーション上で行なった。この画像データから、不用部分を切り落とし(切り出し処理)、また、認識実験の入力画像データとしてはあまりにも膨大であるため、マスク内の階調値の平均を一画素の階調値とするモザイク法を用い、画像データの縮小化を行った。 次にこのデータをニューラルネットワークに印加し、バックプロパゲーション学習則を用いて、ネットワークを動作させ、個人認識実験を行なった。バックプロパゲーションの出力ユニットには、認識ユニット、排斥ユニットを導入し、データベースには、利用者個々に作成した結合荷重を登録することで個人認識システムを構築した。右耳の画像を用いた場合には、未学習データの誤認0%に対し、93.3%の高い認識率を得られた。よって本システムの有効性を示唆できた。この結果は電子情報通信学会のパターン認識・理解研究会(平成7年3月17日)で発表予定である。一方、鼻画像を用いた個人認識実験では、現在80%以上の認識率が得られている。
|