研究課題/領域番号 |
06808064
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物物理学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
本間 道夫 名古屋大学, 理学部, 助教授 (50209342)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1995年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1994年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | イオンチャネル / フェナミル / ビブリオ菌 / べん毛 / モーター |
研究概要 |
Vibrio parahaemolyticusの極毛モーターがNa^+駆動型であることを利用し、その回転に対する特異的阻害剤であるフェナミルを用いると、側毛遺伝子の発現量が増加する事を見いだしていた。フェナミルの濃度を変えて遊泳速度と側毛遺伝子の発現誘導量との関係を詳細に調べたところ、阻害剤非存在下で約50μm/sで遊泳している状態から、少し速度が低下しても誘導はあまり起こらなかったが、遊泳速度が30〜35μm/s以下になると急激に誘導が起こった。一方、粘度を変化させて遊泳速度と側毛遺伝子発現誘導量との関係を調べると、フェナミルによる場合とほぼ同様の関係になることが示された。これらのことからNa^+の流入阻害による極毛の回転阻害も、外力を加えることによる回転阻害も側毛発現誘導の刺激としては同じであることが示され、粘性の影響を完全に排除した形で、べん毛回転の低下による側毛遺伝子の発現を測定する系ができ、扱いにくい粘性体を使うことなく研究を進めることのできる道を開くことができた。この研究の進展に欠かせないビブリオ菌の宿主ベクター系を確立し、分子遺伝学的なアプローチが行えるようになった。さらに、Vibrio alginolyticusを用いて、フェナミルが実際に側毛誘導を行うのかを側毛フラジェリン抗体により、蛋白レベルで発現量を調べた。その結果、フェナミルを加えることで、側毛フラジェリンが誘導されることが確かめられ、フェナミルによる誘導効果が立証された。一方、フェナミルの類似体であるアミロライドでは、べん毛回転を阻害するにもかかわらず発現誘導が起こらない。フェナミルとアミロライドを共存させても側毛の形成が阻害された。また、側毛が構成的に発現されるようになった突然変異株でも、アミロライドによる阻害効果が見られたことから、アミロライドが鞭毛モーターだけでなく、側毛形成を阻害することが見つけられた。アミロライドを加えた場合の側毛フラジェリン量は、菌体外での検出量が、相対的に菌体内より少なく、菌体外フラジェリンに対するアミロライド阻害効果が強いらしいことが観察された。これは、アミロライドが菌体内から菌体外への側毛フラジェリンの輸送を阻害している可能性を示唆している。この新しい発見については、更に、確認実験を行い、論文にまとめる予定である。
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