1.軟骨細胞のin vitvo培養系における生存調節 軟骨細胞は高密度培養系では無蛋白培地中で長期間生存可能であるが、低密度培養系では無蛋白培地中で2-3日以内に典型的なアポトーシスにより死滅した。また高密度培養系からの馴らし培地により低密度培養系の細胞の生存が促進された。このことから、軟骨細胞も、水晶体上皮細胞と同様に、その生存に他の種類の細胞からのシグナルは必要としないが、同じ種類の他の細胞からのautocrineの生存シグナルを持続的に受け取ることを必要とし、それが得られない場合はアポトーシスにより自殺することが明らかになった。またIGF-1、PDGF、bFGFの組み合わせでこの生存シグナルが構成されていることが明らかになった。 2.線維芽細胞・腫瘍細胞の生存調節 ラット座骨神経由来線維芽細胞・マウス胎仔線維芽細胞・ラット線維芽細胞由来セルラインRat-1の生存調節を検討したところ、これらの線維芽細胞は無蛋白培地中では高細胞密度で培養してもアポトーシスにより死滅すること、またこのアポトーシスはウシ胎仔血清ないし蛋白性細胞増殖因子によって効果的に抑制されることが明らかになった。このことからこれら線維芽細胞の生存には他の細胞からの生存因子が必要であり、それが得られない場合にはアポトーシスにより自殺することが強く示唆された。また色々な腫瘍細胞の生存調節を検討したところ、その生存の、他の細胞からの生存信号に対する依存性が低下しているものがあることが明らかになった。
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