研究概要 |
平成7年度は平成6年度の研究を継続して次の研究を行った。第1に,前年度に行った,日本の電機メーカーを中心とする担当者100人に対するアンケート調査の結果を分析した。今年度はこのアンケート・データを分析し,統計的手法を用いた実証研究を行った。この結果,企業の特性と,知的財産権組織,意思決定の3点の関連を問ことが,企業の意思決定分析に必要なことが示された。そこで,研究方法を修正して,企業特性と知的財産権組織に関する追加データを追加し,分析を行った。この結果は学術論文として作成する予定であるが,平成7年度を超えて作業を行っている。 第2に,知的財産権紛争の経済学の基礎となるのが知的財産権と企業価値の関係であるが、平成6年度に行った研究方法を修正する必要が生じた。それは企業価値を測定する尺度の質を向上する必要があるためである。したがって,再度,製薬企業を対象として,知的財産権と企業価値の関係を検討した。これをいくつかの論文で発表した。さらに「製薬企業の企業価値と研究開発」『医療と社会』6(4),69-85,1997としても発表される。 第3に,知的財産権紛争の理論化において,R&D競争と知的財産権をめぐる産業組織論的分析を整理して,財産権の設定と企業の業績,国民の経済厚生の関係を検討した。これについては論文として作成中である。 第4に,知的財産権紛争の経済的価値の実証研究を,財務理論における CAPM 理論を利用した Event Studyを予定していたが,これはデータの制約でまだ完成していない。これは継続中である。
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