研究課題/領域番号 |
06832003
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
惑星科学
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
下山 晃 筑波大学, 化学系, 教授 (30134084)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1994年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | Murchison炭素質隕石 / Yamato-793321炭素質隕石 / 炭素質隕石の有機物 / 炭素質隕石の核酸塩基 / 非生物起源の核酸塩基 / 地球外起源の核酸塩基 |
研究概要 |
太陽系は46億年前に形成し、小惑星や地球などもその一連の過程で形成された。小惑星についての手掛かりはその探査の前に、地上に落下した破片である隕石を調べることにより得ることができる。特に、隕石中の有機物を明らかにすることは、化学進化や生命の起源、さらには、地球外生命の可能性についての研究には不可欠である。 本研究では、生体関連有機物としてはアミノ酸と同様に最も重要であるが、まだ、その存在の解明が不十分である核酸の塩基について調べた。試料とした隕石はMurchison炭素質隕石とYamato-793321炭素質隕石である。実験はこれらの試料を粉末化し、水、次にギ酸で抽出し、液体クロマトグラフ-質量分析計で化合物の同定と定量を行った。 その結果、Murchison隕石の水抽出液からアデニン、シトシン、グアニン、チミン、ウラシルが20から250ng/gレベルで検出され、ギ酸抽出液からはアデニン、シトシン、グアニン、ヒポキサンチン、キサンチンが10から350ng/gレベルで検出された。Murchison隕石には既に隕石に固有であるアミノ酸が報告されており、本研究で検出されたこれらの核酸塩基はやはり隕石に固有なものあり、地球外起源と考えることができる。一方、Yamato-793321隕石の水抽出液からはシトシンのみが、ギ酸抽出液からはアデニンとシトシンのみが検出された。この隕石にはアミノ酸が極めて少ないことが報告されており、本研究で検出された上記の核酸の塩基が隕石に固有であるとの判断は難しく、また検出量が少ないことから、地上での汚染物に由来する可能性も考えられる。 炭素質隕石は隕石の中でも始原的なものであり、Murchison隕石中に隕石固有の核酸の塩基が見いだされたことは、始原天体にもこのような生物に重要な有機物が存在することを示し、近い将来に行われる始原天体の探査に重要な情報を提供すると考えられる。
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