研究課題/領域番号 |
06833004
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
老化(加齢)
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
本間 美和子 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (40192538)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1994年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 細胞老化 / 細胞内情報伝達系 / イノシトールリン脂質 |
研究概要 |
老化のメカニズムを明らかにすることは生命現象の本質に迫る重要な課題である。老化細胞の特徴として、ある分裂回数を経過した後はいかなる増殖因子に対しても増殖応答を示さないこと、いかなる外来遺伝子導入によっても分裂回数の延長がみられても不死化することはほとんどないこと、若年時に不死化した細胞を有限寿命にさせるような優性因子が老化細胞内に存在すること等があげられる。そこで本研究は第一に述べた、老化細胞が増殖因子不応性である原因を明らかにすることを目的とし、若年細胞で活性化される正の増殖シグナルのどこのステップを老化細胞では積極的にダウンレギュレートしているのか老化細胞に特徴的な増殖抑制メカニズムの解析を行った。 その結果これまでに血小板由来増殖因子(PDGF)で刺激した場合にみられる若年細胞でのホスホリパーゼC(PLC)活性化による細胞内IP_3産生が老化細胞では著しく低下していることを明らかにした。このとき受容体タンパクの発現量、リン酸化、親和性の強さは、若年、老年両者の細胞で差異はなく、また細胞内存性のPLC活性もin vitroのアッセイで両者に差は見られなかった。したがって受容体刺激に依存するPLC活性化に至るまでの経路のどこかにこの初期反応を阻害している原因が存在することが、当該年度の研究により明らかになった。現在、受容体活性化を経由するPLC活性化経路のうち少なくとも既知の経路が老化細胞でなんらかの変化を生じているか否かを詳細に検討している。さらにPLC下流に位置する各種タンパクキナーゼの活性を測定した結果、内在性キナーゼの活性そのものは老化細胞での特徴的な変化はみられなかった。 最近、老化細胞に高発現されている遺伝子が複数報告された(wafl/Sdil)他、老化細胞ではサイクリン/CDK複合体の不活性化や非リン酸化型Rbの存在により核への増殖シグナルが伝わらない理由が示唆されている。しかしながらそれらの原因となる上流のシグナルの変化については未だ生化学的な報告は行われていないのが現状である。本研究により増殖シグナルの積極的な衰退と言う観点から、当該年度で明らかになった初期反応の変化が核への情報伝達経路にどのように関与しているかを今後明らかにしたい。
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