研究課題/領域番号 |
06833014
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
老化(加齢)
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研究機関 | (財)東京都老人総合研究所 |
研究代表者 |
宇津山 正典 (財)東京都老人総合研究所, 免疫病理, 研究員 (70167287)
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研究分担者 |
広川 勝いく 東京医科歯科大学, 第二病理学, 教授 (00014093)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1994年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | T細胞 / 細胞内情報伝達 / 加齢 |
研究概要 |
免疫系は生体防御にとって重要な役割を果たすが、加齢に伴い免疫機能は低下する。その多くは量的・質的に変化を生じるT細胞に依存した機能に起こる。最も重要な変化は抗原刺激後の細胞増殖能の低下であり、加齢に伴う細胞内情報情報系の異常である事からT細胞における細胞内情報伝達系の如何なる箇所に加令変化が認められるかを検討した。T細胞のレセプター(TcR)、細胞膜内PIP2量およびPLC活性において老齢・若齢間に差が認められ無いにも関わらず、刺激後のセカンド・メッセンジャー産生量は老齢マウスT細胞で低値を示す。刺激がTcRを介しPLC活性を引き起こすタイロシンカイネース(PTK)について老・若齢それぞれのマウス脾細胞より株化されたマウスT細胞株を用いたRT-PCR法にて非レセプター・タイプのPTKでは老齢T細胞で低値であり、レセプター・タイプのPTKでは高値を示し、PTKに加齢変化が生じている事を確認した。しかし、いろいろなT細胞亜集団から構成されている生体内のT細胞では単一のT細胞株と同様な加齢変化を確認することは出来なかった。だが、TcRを介する抗CD3抗体刺激では増殖能、細胞内Ca^<2+>濃度で老齢マウスT細胞で低値を示したが、TcRを介さないPMA+IOMの刺激では老・若齢マウスT細胞で差異は認められなかった。また、タンパク質リン酸化反応が細胞外からの刺激による種々の機能の制御に関与していることからTcRを介した刺激によるマウスT細胞のタンパク質リン酸化についても検討した。老若齢マウスよりT細胞を分離し抗CD3抗体により刺激後、細胞溶解液をSDS-PAGEで泳動、ウエスタン・ブロツトを行った後、各種抗体を用い免疫染色を行いタンパク質のリン酸化とタンパクの同定を試みた。老齢マウスT細胞ではPLCγ、MAPk、他に分子量75Kdと110Kdのタンパク質のリン酸化が若齢マウスT細胞と比較し明らかに劣っていた。一方、老齢マウスT細胞で老齢マウスT細胞よりもリン酸化の強いタンパク(66Kd、41Kd)も存在する事も確認した。以上の事から、外部からの刺激を受けた後にPLCの活性化へと導くPTKおよぞタンパク質のリン酸化において加齢変化が生じている。従って、老齢T細胞ではTcRで受け取った刺激がある種のPTKの異常、タンパク質リン酸化の異変などの情報伝達系に加齢変化が生じている事が示唆された。
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