界面多電子移動は、電子授受を行う分子と表面との強い相互作用が不可欠であり、分子が表面に強く捕捉された状態から進む構造敏感な反応過程であり、時として、振動現象やパターン形成などの散逸構造の形成を伴う。フォルムアルデヒドは、白金電極表面で4電子酸化を受け、最終生成物二酸化炭素を生成する。この反応は、2つの独立な反応経路を持つ双安定な電気化学反応で、電極反応の進行とともに、電流-電圧の非線形な自励発振が観測される。この非線形反応の機構を調べるために、電気化学的な反応制御と表面選択的なレーザー分光の実験を複合して研究を進めた。その結果、白金電極表面の単原子層以下の酸化皮膜の形成・還元速度がフォルムアルデヒドの解離吸着により大きく変化する事を明らかにした。さらに、反応を行っている電極表面の原子配列の対象性を角度分解表面2次高調波発生分光で測定できる事など明らかになった。白金表面がフォルムアルデヒドが解離吸着して生成するCOで覆われると2次非線形感受率が変化する事を利用して、電極反応の進行にともなう表面の吸着分子層の変化を追跡する事を行った。
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