研究概要 |
(1)長波-短波共鳴相互作用の問題について,2つの代表的なスケーリングの場合,すなわち,SH型とSK型の場合を考察した.有限深さの水面上の表面張力重力波をモデルとしてそれぞれの場合に対して,逓減摂動法によって高次近似方程式を導出した.それらの一様波列解の変調不安定性を調べ,SH型では高次近似項が変調不安定性に大きな影響を与えるが,SK型では高次項はほとんど影響を持たないことが明らかになった.さらに,高次近似方程式を数値的に解いた結果,次の事が見出された.(i)局在した初期値に対しては分散波は放出されるものの高次近似においてもSH型のソリトンに類似した長波と短波の結合波が形成される.(ii)周期的境界条件の下では、SH型では高次近似項のの影響は大きく,解の長時間挙動はSH型とその高次近似では非常に異なる.それに対して,SK型では高次近似の効果はかなり長時間の後でもわずかなものである. (2)強制項を含むSH型方程式の解の動的過程を,局在した山の上を速さVで流れる自由表面を持つ二層流体をモデルとしVが内部波モードの長波長極限での位相速度cに近く,さらにcに近い群速度をもつ波数の表面波モードが存在する場合について考察した.方程式はSH型の長波-短波相互作用方程式にVと共鳴波速とのずれの効果と強制項としての山の効果が入ったものになる.この方程式は山に捕捉された様々な解をもつほか,山から離れたところで短波と長波の結合ソリトン解をもつ.遠方から山に入射してきたソリトンが山に捕捉された波と相互作用してどのような挙動を示すかを数値的,解析的に詳しく調べ,Vとcとのずれの値と入射ソリトンのパラメータの値に依存して,ソリトンが透過する場合,反射しかつ増幅する場合,ソリトンが分裂する場合があること明らかになった.
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