研究概要 |
1 3年に渡って行われた研究の最終年度として、始めに計画した研究の目的をほぼ完了した。その概要は以下のようである。 (1)まず、ソリトン系について、戸田格子から出発してその可解性を保ちながら変数を離散化した系の振る舞いが、W_∞代数を含み、特にMoyal代数に一般化できることが示された。こうして得られた系を解析する方法として、微分幾何学の離散化版が構成され、有効であることが明らかになった。(2)ソリトン系の離散的な一般化とは別に、2次元戸田格子系は、それぞれが4点からなる戸田原子の集まりとして理解できることが示された。このことによって、無限に大きな場の換わりに1従属変数の力学系を考察することによって系全体の性質を理解することが可能になる。(3)戸田原子の時間的振る舞いは、メ-ビウス写像で与えられ可積分である。その4点格子を多少変形することによって可解性は壊れ、従属変数の複素平面にはジュリア集合が現れる。このジュリア集合が可積分な極限でどのように振る舞うかを詳細に調べた。その結果、非可解な系を特徴づけるジュリア集合は一様に可解系のメ-ビウス写像に集積することが解析的に示された。またこの結果をコンピュータで確かめ、ジュリア集合が変形していく様子を数値的に捉えることが出来た。 2 以上の結果は既に掲載された論文の他に、以下の論文として纏められ投稿された。 S.Saito,‘Dual Resonance Model Solves the Yang-Baxter Equation' S.Saito,‘The Correspondence between Discrete Surface and Difference Geometry of the KP-hierarchy'
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