研究概要 |
BasicFGFおよび他の増殖関連因子の血管新生作用とその機序について検討した(数値は平均±標準偏差)。 実験1:犬心筋梗塞で(1)生理食塩水,(2)ヘパラン硫酸(HS)3mg,(3)b-FGF30μgあるいは(4)HS+b-FGFをカテーテルで心膜内注入した。1か月後の梗塞巣/左心室の重量比は24±5%,25±4%,18±2%,10±2%であった(各々n=7)。虚血部冠細血管数は1視野で1群13±3個、2群20±2個、3群47±8個、4群136±26個でb-FGF心膜内注入は冠血管新生と心筋梗塞巣縮小をもたらしHSはこれを増強させる。 実験2:犬冠動脈狭窄モデルでb-FGF10μg冠動脈投与1週後、冠細動脈数は1視野でb-FGF群6±2個、対照群0.5±0.6個とこのモデルでもb-FGFの血管新生作用が認められた。 実験3:家兎にb-FGFを毎日3μg1週間投与したが正常心筋では血管新生作用はみられなかった。 実験4:心筋症ハムスターにb-FGFを毎日30μg/kg投与した(n=28)。3か月後に対照群の心筋壊死巣が平均43%に対しb-FGF投与群では26%に抑制され(P<0.05)、冠細血管数も7倍になり血管新生療法は心筋症でも心筋保護効果がある。 実験5:家兎大腿動脈閉塞例でヘパリン局所投与したが1週後の血管造影では新生血管の発達は見られなかった。投与6時間後のPDGFやb-FGFのmRNAの発現はIn-Situ Hybridizationで確認出来ず、ヘパリン投与法および検討時期にも問題があると思われた。 実験6:家兎大腿動脈閉塞例にTGF-βアンチセンスを局所投与した。血管内膜増殖が42%抑制され血管新生は目立たなかった。TGF-βは内皮細胞増殖と血管新生の調節に関係していることが示唆された。 実験7:細胞培養系におけるb-FGF gene-transfer実験を開始した所である。
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