研究課題/領域番号 |
06839025
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
海洋生物学
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研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
道之前 允直 甲南大学, 理学部, 助教授 (60068145)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1995年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1994年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | ホタルイカ / 水圏用分光器 / 光環境の変動 / 中深海の波長分布 / 動物行動 / 発光物質 / 中深層の波長分布 |
研究概要 |
本研究は中深海の微弱な光環境の変動とそこに棲息する動物の諸行動との関連性を明らかにすることを目標として、次のような測定及び調査を実施した。しかし、本研究計画の初年度に阪神大震災に遭遇し、大半のデータと測定・分析機器を失い、最終年度(平成7年)に新たに実施した研究成果(1、の一部と3、4、)が残った。 1、平成6年度に申請した水圏の光環境を測定する装置を改良し、機能テストのため、深部の光環境を測定したところ、水深100mまでS/N比のよい測定結果が得られた。そこで、この測定装置を活用して、富山湾の中深層海域を中心に光環境の測定を実施し、同時に超高感度魚群探知機(古野電気のご好意による貸与機)を用いて水面下の動物行動をモニターした。 2、富山湾に面する7漁港と香住、越前の漁湾合わせて9港で一週間毎にホタルイカを採集し、6種の酵素を指標にしてアイソザイム分析を行い、群れの大きさとその動態を調査した。 3、富山湾に面する7漁港の日毎の漁獲高を過去十年間分を集計し、ホタルイカの群れの大きさの推定と動態を調査した。 4、ホタルイカは生活場所の光環境に対応して体表面の発光器の発光強度を変える。そこで、上記の測定と並行して、ホタルイカの発光機構を探る目的で発光物質の分離・精製を試みた。また、これに平行して、全ての発光器に含まれる結晶様構造体について詳細な分析を行った。 以上の結果、ホタルイカは微弱な光変化に反応して、垂直方向の日周期活動をする事を見いだした。日没直後、中深層より浮上を始め、約2時間後には約水深10mに達し、層状の群れを形成する。その後、海岸に向かって移動し、日没後2-3時間で産卵行動に移ることがわかった。また、接岸行動に一定のリズムがあり、五月初旬の満月の日に当該年度の最大接岸・産卵日があり、これを中心に前後1-1.5カ月の間、各満月の日を中心に高頻度で接岸・産卵行動が起きることを見いだした。 ホタルイカの発光物質の分離・精製では発光に関与するタンパク質を精製することに成功した。分子量約6万、酸性側で比較的安定な水溶性アポタンパク質で発色団としてセレンテラジンをエステル結合していることを明らかにした。発光器に含まれる結晶様構造体は上記アポタンパク質が色素団とともに結晶化したものであることをX線構造解析や偏光顕微鏡観察により明らかにした。
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