1.調査の方法について まず、品川区における行政策作全般の経過と区政協力員制度および女性政策の展開に関するヒアリング調査を行った。併せて質問紙調査への依頼も試みたが、名簿の入手が困難であることや、制度的な前提について確認すべき点が多いこともあって、時期尚早と判断し、他の自治体も含めたヒアリング調査と何人かのコミュニティ・リーダーに対するインテンシヴ・インタヴューの方法へと切り替えることにした。 2.コミュニティ・リーダーと行政をつなぐ諸制度 東京都品川区、石川県金沢市、三重県松阪市について、各種のコミュニティ・リーダーを行政的に位置づける諸制度に関するヒアリング調査を行った。その結果、町内会、自治会に代表される行政協力員制度や連絡員制度などの旧来からの手法に加えて、近年では女性政策の一環として地域で活動する女性に講座の企画委員を委託したり、行動計画の策定に参画させるといった新しい形態が導入されつつあることが明らかになった。 3.コミュニティ・リーダーのケーススタディ 品川区で実際に活動している女性リーダーに対するインテンシヴ・インタヴューの結果、コミュニティ・リーダーにとって行政とのかかわりは様々な行政情報の入手だけでなく、自治的・社会的活動への視野や知識を高めるうえで非常に重要な役割をはたしていることがわかった。しかし反面、行政側の位置づけはあくまで「行政協力」の枠内に限定されるため、やがて自律的な判断力と行動力を持つまでに成長したリーダーからは、かえって住民としての活動を制約するものと感じられていくという問題点も浮き彫りにされてきた。
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