研究課題/領域番号 |
06851066
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
言語学・音声学
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
菅野 憲司 千葉大学, 文学部, 助教授 (90177767)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1994年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | lie「うそ」 / cognitive「認知上の」 / linguistics「言語学」 / pragmatics「語用論」 / psycholosy「心理学」 / irony「皮肉」 / metaphor「比喩」 / mathematical foundation「数学基礎論」 |
研究概要 |
「うそ」を、言語学・語用論・哲学・数学基礎論・心理学等々の総合的観点から考察して、「聞き手(うそきつそう)手し話」という「うそ」の定式化に到達した。「聞き手(うそきつそう)手し話」とは、式の→の方向で聞き手が『うそきつそう』と思い、反対の式の←の方向で話し手が『うそつきそう』と思うことをまとめたものである。Benjamin(1987)“The Pragmatics of Eristic"の枠組では、前者は聞き手のRevelatory Conditionであり、後者は話し手のIntentional Conditionになっている。 「聞き手(うそきつそう)手し話」という「うそ」の定式化の第1の意義は「うそ」に聞き手と話し手が同時に係わっていることを表現していることである。聞き手と話し手のどちらか片方が欠けると、両方が欠けると同様に「うそ」が成立し得ない。第2の意義は、「うそ」について聞き手が話し手より劣ってはいないことを表現していることである。ただし、「話し手(うそつきそう)手き聞」という考え得るもう1つの「うそ」の定式化との関連性は将来の研究課題の1つであろう。 やはり「聞き手(うそきつそう)手し話」という定式化の将来的研究課題の1つとして、聞き手が『うそきつそう』と思うことと話し手が『うそつきそう』と思うことが究極的に矛盾しないかどうかである。究極的には両者が矛盾するにしても、矛盾しない程度にこの定式化が有用かどうかさらに一層の考察に値しよう。 萌芽的研究という面で、「聞き手(うそきつそう)手し話」という定式化が有する認知科学的研究に対する意味合いという問題点を各1点挙げたい。「聞き手(うそきつそう)手し話」をもう何段階か抽象化した「聞き手(……)手し話」というものが、言語習得に対して示唆的ということであり、聴力がないと言語習得が不可能ということと無関係であろうか。では第1番目の言語習得者はだれの言語を聞いたのかという言語起源の問題点の方は依然として解決を待っているままである。
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