セグメント情報に関して、理論研究と実証研究を並行して進めてきた。まず理論研究から理解されることは、法制化された財務会計における研究がある程度充実しているのに対して、実際的な経営に関連する管理会計においては、セグメントの意味が多様であるために体系化された理論づけが不足していることである。一般に管理会計においてセグメントは、これまで計算・報告単位あるいは組織単位として理解されてきた。そして近年は、こうした理解に加えてセグメントを事業と捉える考え方が増加している。 理論研究のうち国際比較では、台湾との比較において理解されることとして、台湾におけるセグメント情報が補足的な資料であり、日本と同様に米国の影響を強く受けていることがある。また管理会計においては、台湾においても日本においても同様に詳細な分析を行なっていることが把握された。 次に実証研究を中心として理解されことは、農業協同組合や生活協同組合などの協同組合よりも、企業のセグメント情報が詳細になっていることである。大企業や中堅企業では、市場別情報も含めたセグメント情報のシステム化が進んでいる。これに対して中小企業では、パーソナルコンピュータレベルの簡潔なシステムを用いたセグメント情報の作成を進めている。但し、協同組合においても大規模組合では、ある程度セグメント情報が充実しているようである。 ところでこれからの可能性として、今回の研究を通じてセグメント財務情報は、より具体的にGIS(地理情報システム)を用いたマーケット・マッピングなどにおいて活用の可能性が高まっていることが分かった。特に地域別のセグメント財務情報は、市場を把握するなどの点で利用可能性が高いと思われる。これについては今後の研究対象としていきたい。
|