整数環を代表とする整環(order)のガロア加群構造に関する問題はたくさんあり、いずれも重要で興味深いが、本研究においては以下のような結果が出た。詳細は現在論文を準備中である。 Kを有理数体【.encireledh.】上有限次アーベル拡大、Zと有理整数環、O_kをKの整数環、G=Gal(K/【.encireledh.】)をガロア群とする。K/【.encireledh.】の分岐が高々tameの場合、Hilbert-SpeiserはO_k=Z[G]・aを満たすO_kの元aを具体的に求めた。更にLeopoldtは、wildな分岐を許した場合への拡張、つまりO_k=A・a(ここでK/【.encireledh.】は一般の有限次アーベル拡大、A={b∈[G];bO_k⊂O_k})を満たすO_kの元aを具体的に求めた。 一方Chapmannは1991年Hilbert-Speiserの結果の正標数類似、つまり、qを素数巾Fgを位数qの有限体、k=F(T)(ただしTは不定元)、Kをk上有限次アーベル拡大体でO_k=Fq[T]の素イデアルで高々tameな分岐しかないもの、O_kをo_kのKでの整閉包、G=Gal(K/k)をガロア群とした時、O_k=o_k[G]aを満たすO_kの元aを具体的に求めた。 今回Chapmannの結果の拡張であり、正標数の時のLeopoldtの問題の類似にあたるK/kがwildな分岐を許した場合を調べ、標数oの場合と異なり、O_k=A・a(ただしA={b∈k[G];bO_k⊂O_k}をみたすO_kの元aが存在しない例を見つけた。見つけ方は判別式を具体的に計算する方法で、局所体の同じような問題にも適用でき、更に新しい結果が出る事が期待できる
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