本研究は現在有限温度系の場の理論で用いられている手法が正しい、あるいは妥当な方法であるのかどうかを明らかにするのが目的であり、次の手順で進めている。 1.有限ポテンシャルが統計物理学で扱われるどのような量に対応するものかを明らかにするために、有限温度系の場の理論で用いられるハミルトニアン、あるいはそこから計算される分配関数等が統計物理学で扱われる対応する量と正確に同じものであるかどうかをチェックする。 2.有限温度系の場の理論ではゼロ温度の場の理論に含まれる時間変数を虚数に置き換えたもの(の逆数)を温度とよみ替えるが、虚数時間と温度との間の関係を明確にする。 3.有限ポテンシャルが相転移を議論する際に適切な量であるかどうかを調べる。 4.適切でない量であった場合は相転移を議論する際に何が適切な量なのか、そしてそれはどのようにして求めることができるのかを検討する。 5.適切な量であった場合は、場の真空期待値が空間座標に依るような場合についてその有効ポテンシャルを解析的、あるいは数値的にどのように計算すれば良いかを検討する。 現在、研究は1の段階の途中であり、これまでのところ新しい結果は得られていないが、1の段階が終了し次第、次の段階に進んでいく予定である。
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