高対称性と空間的均質性を有するミクロンまたはサブミクロンスケール強磁性微粒子2次元格子は、その格子点間の双極子相互作用を通じて単磁区微粒子配列を形成し、局所磁場を引加するマイクロディバイスとなる。 このような2次元格子配列を、高解像電子線リソグラフィーとスパッタリング法を用いて、超伝導Nb薄膜上に作成し、超伝導薄膜に及ぼす局所磁場の効果について研究した。格子点物質は希土類遷移金属アモルファス合金(Sm_<33>Co_<67>)及びパ-マロイ(FeNi)を用いた。格子点の大きさは2μm×2μm×200nm、格子点間距離は4Umである。 磁束量子の侵入過程を調べるために、この強磁性体-超伝導体複合膜の磁化測定をベクトルSQUID磁力計と振動試料型磁力計を用いて行った。その結果、磁束量子は磁気微粒子一個を含む単位胞あたり一本の割合で、周期性をもって超伝導体内に侵入すること等が分かった。これは、微粒子配列の作る局所磁場によってNb薄膜の超伝導秩序度が周期的に変調されるため、侵入磁束を超伝導秩序の低い部分に選択的に誘導するためである。更に、着磁された磁気微粒子は外部引加磁束を吸引し磁束ガイドとして振る舞い、超伝導状態を安定化させることも解った。 以上の結果について日本物理学会(1994春年会、1994秋分科会)およびInternational Conference M^2S-HTSC IVにて口頭発表したほか論文として刊行した。
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