研究課題/領域番号 |
06854036
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
無機化学
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
黒田 孝義 近畿大学, 理工学部, 助手 (80257964)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1994年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 銅(I)錯体 / phenazine / 1次元ポリマー / 2次元シート / π-πスタッキング / 単結晶X線構造解析 |
研究概要 |
phenazine(phz)はanthraceneの9、10位を窒素で置換した化合物であり、この窒素を介して銅(I)イオンに配位することによりポリマー錯体を形成することが可能である。そこでこの配位子と銅(I)イオンを種々の溶媒及び対アニオンを変えて合成を行ない、3種類の銅(I)-phz錯体の結晶化に成功した。単結晶のX線構造解析の結果、いずれも銅がphzにより架橋された1次元構造を有しており且つ、いずれの化合物においても隣の1次元鎖のphzがπ-πスタッキングを形成していた。1は[Cu(phz)(NO_3)]_nの組成を有し銅にはphzの他に対アニオンである硝酸イオンが2座でキレート配位している。2は{[Cu(phz)(CH_3CN)]_2(pyrene(PF_6)_2}_nの組成で、1と類似のジグザグ1次元鎖構造を有しているが、隣り合った1次元鎖間にはpyreneが挟まれており、phz-pyrene-phz-…と続くπ-πスタッキングを形成している。3は[Cu_2(phz)(PFO_3)]_nの組成を有し、phzによる架橋の他にPFO_3^<2->の酸素も銅に架橋しておりCu-phz-Cu-PFO_3-Cu…と続く1次元鎖が形成されている。さらに興味深いことには、この1次元鎖同士がphz間のπ-πスタッキングを有するのみならず、PFO_3^<2->の第3の酸素によっても架橋されており2次元シート構造が形成されている。対アニオンであるPFO_3^<2->は、原料のPF_6^-が溶媒中の水により加水分解を受けてできたものと考えられる。3は黒色で、室温において僅かながら電導性を示した。 以上、当初の目は果たせなかったが、リン酸誘導体で架橋された銅(I)錯体ポリマーの構造を明らかにすることに成功した。今後は類似の銅-酸素架橋錯体の合成・構造解析を行ない、さらにその磁性についても検討する予定である。
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