研究概要 |
本研究では,乱流せん断場を作り出す形状としてオリフィス管内流れを取り上げ,流れ場の数値計算とこれから溶血評価法の検討を行った.まず,オリフィス形状の違いによる流れ場の計算をおこない,その形状で発生しうるせん断応力の発生を乱流モデル(k-εモデル)を用いた計算による予測した.流体場の仮定としては,(1)赤血球の数は十分少なく単相流として扱う,(2)乱流渦と粒子の相互作用はない,以上の2点を用いた.このオリフィス管内の流れをレイノルズ数10000で解き,その結果,以下のことがわかった. (1)オリフィス管上流部にある角の丸みによって発生した乱流せん断応力が角の丸みが小さくなると,急激に大きくなり最大5000Paにも達する. (2)(1)の同一地点で発生する乱流せん断応力は,分子粘性せん断応力に比べて十分大きい. 乱流エネルギーやエネルギー散逸率はオリフィス宿流部で非常に大きい値をしめし,これらの乱流量も溶血に関与すると考えられる. また,この流れ場から得た情報を整理すると赤血球がせん断応力の時間積分や経路積分のある一定値を越えると破壊するという評価法が溶血実験との相関があることがわかった.
|