研究概要 |
高圧雰囲気における乱流が,燃焼の促進と抑制に及ぼす影響を解明することを目的として,圧力制御された高圧容器内に乱れ発生板を内蔵した噴流バ-ナを設置し,火炎の可視化計測、乱流計測,フラクタル解析,乱流燃焼速度の測定などを行なった.実験内容と主な知見を以下に示す. 1.高圧雰囲気では,大量の発熱に対する対策に苦慮したが,最終的に30気圧までのメタン-空気乱流予混合炎の安定化,連続燃焼試験に成功した.また,30気圧では高圧容器内に大量の霧状の水が発生し,可視化計測に問題となることが分かった. 2.熱線風速計を用いて,空気流に対して30気圧までの乱流計測を行った結果,同一の乱れ発生板・空気流速における乱れ強さ・乱流スケールは,圧力の増大とともに減少することが明らかとなった.また,乱れのエネルギースペクトルは,高圧になるほど高周波域に占めるエネルギーの割合が大きくなることを示しており,高圧化によって乱流構造が微細化することを意味している. 3.予混合気に二酸化ケイ素微粒子を混入させて火炎を安定化させ,アルゴンイオンレーザのシート光を照射してトモグラフィーをCCDカメラにより撮影した.その結果,圧力の増大とともに,火炎構造は急激に微細化することが判明した. 4.火炎の微細化の様子を定量的に表すため,トモグラフィー像に対してフラクタル解析を行った.その結果,u'/S_1(ここにu'は乱れ強さ,S_1は層流燃焼速度)および圧力の増大とともにフラクタル次元は増大することが判明した.ただし,圧力を更に増大させるとフラクタル次元はほぼ2.3に収束する傾向にあることがわかった. 5.トモグラフィー像から火炎位置を抽出し,多数重ね合わせることによって平均火炎位置を求め,角度法を用いて乱流燃焼速度を算出した.その結果,S_T/S_1(ここにS_Tは乱流燃焼速度)はu'/S_1の増大とともに増大するが,高圧であるほどS_T/S_1の増大は急激であり,圧力(密度)依存は,S_T/S_1〜ρu'/ρ_oS_1(ここにρは密度,添え字0は大気圧)で表されることが明らかとなった.
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