研究概要 |
実験データを基に構造系を簡単なモデルの質量,剛性,減衰の各特性マトリクスに同定する場合,最も同定精度が低く,かつ,実験データの微小な誤差にも敏感に影響を受けてしまうものは減衰マトリクスである.その理由の一つとして,質量や剛性のように物理的な意味からもその性質や定義があいまいな点などが考えられる.音場と構造系の連成を考慮して簡単なモデルの各特性行列として質量,剛性,減衰の各マトリクスを同定する場合,構造系のみの同定の際に減衰マトリクスに見られるように,その物理的な意味あいがあいまいになることが考えられる.そのため,構造系の場合同様に実験誤差などに非常に敏感になると考えられる.そこで,本年度の研究として,構造系のシミュレーションを通じてファジィ数を用いた直接同定法の結果の改良法をさらに吟味し,実験データの誤差により頑強な手法の開発を目的とした.その結果,シミュレーション上において特に,減衰行列を精度よく同定できることが確認された.購入したコンピュータ(マッキントッシュ)は主はシミュレーションに用いたものである. また,本年度は実験装置の製作もあわせて試みた.実験結果とコンピュータとのインターフェイスを考慮してGPIBを購入した.音場を測定するためのマイクロフォンと構造系の振動を測定するための加速度ピックアップやギャップセンサとの連成を考慮した実験装置はほぼ完成され,近々実験結果を得られる段階に来ている. 本研究は,最終的には実験結果を基にした同定を目指すものであり,今後,シミュレーションより確認された.改良型の同定手法を実験結果に適用して,その有効性を検討する予定である.また,その結果を基に,研究成果を発表する予定である.
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