本年度、研究者は有機ポリシランのポリジメチルポリシランを高配向PTFE基板上に真空蒸着する事により一面軸配向した幕を得ることに成功した。 偏光顕微鏡による観察からポリジメチルシランはPTFEの溝に沿って線状に配向していることが確認された。この線幅は数ミクロンのオーダーである。X線回析の結果よりシリコン主鎖は基板面の一方向に配向し、さらに各ポリマーも基板に垂直方向に結晶をつくり配向していることが分かった。光吸収スペクトル測定においてもこの配向膜は、高度に配向していることが分かり300nmでのシリコン主鎖による吸収の二色比よりシリコン主鎖はPTFEの配向方向と平行になっていることが分かった。また、350nmの領域に高度な配向による新たなピークが観測された。このピークは配向によるシリコン主鎖内でのα共役領域の拡大もしくは隣会う分子間での相互作用によって新たに発生したと思われる。 この配向のメカニズムであるが、PTFE配向基板に厚さ10nm以上の金属を蒸着した基板上ではポリジメチルシランの配向は認められず、数nmの基板の溝構造が配向に大きく影響していると考えられる。実際、PTFE配向膜は数nmの溝構造がAFMにより確認されている。このことは分子結晶でもエピタキシャル成長が可能であることを示唆している。 これらの成果は近日論文にする予定である。
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