研究概要 |
符号分割多元接続(CDMA)によるisochronous(等時性)伝送を実現するためには,輻輳時でも一定の伝送帯域を確保する仕組みが必要となる.同時送信局数は電力スペクトル密度との間に線形性が成り立つことから,電力スペクトル密度を監視することにより伝送可能局数を推定し,送信データの緊急度にあわせたプライオリティを導入することにより分散制御する方式を,本年度は,主に理論面から検討した. 1.理論解析 伝送可能局数推定及び2段階のプライオリティを導入した場合のスループット及び遅延特性をコンピュータシミュレーションにより確認したところ、所望の特性を得られる見通しが得られた。 現在検討している伝送帯域を確保する仕組みは、従来から知られている、回線留保方式と呼ばれる解析法の確立された通信モデルに近いことから、今後は解析的に伝送特性を示していく予定である。 2.実験 提案伝送方式のハードウェアによる実証システムの構築を順次進めた。 今年度は、主に伝送路とのインターフェース回路の設計を行った。また、CDMAを行うハードウェア,及び電力スペクトル密度の監視ハードウェアは,複雑であるため,3000ゲート程度のFPGA(Feild Programmable Gate Array)を用いて専用LSIを作成するために必要な、FPGAの設計及び製作用専用のツールを購入し、現在のところ設計環境の整備を順次すすめているところである。 3.その他 上記実証システムで使用予定のスペクトル拡散符号として、Overlapped PN系列を新たに開発し、その伝送性能を示した。
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