本研究では無機-有機の界面を利用した新規なnanocompositeの合成、構造評価さらにはその諸物性を検討した。無機有機複合材料は無機物、有機物単独では現実できない新しい構造、性質を有する可能性があることから興味をもたれている。中でも秩序構造を有するものは構造と物性の関係が議論しやすく、さらには精密な構造制御、評価が可能である場合があり、重要である。本研究では無機物としてシリカを用いて新規な物質系の探索を行った。 アルコキシシランを界面活性剤の存在下、重合させることにより、新規な無機有機ナノ複合体を得た。X線回析分析の結果などから、界面活性剤が2分子層を形成し、厚さ1nm程度のシリカ層がこれをサンドイッチするような構造をとっている層状相、さらには界面活性剤の棒状ミセルをシリカ相が取り囲んだ構造をとっているヘキサゴナル相がえられたと考えられた。これらは透明かつ配向した薄膜としてえられ、全く新規な分子集合体として光機能性材料以外にも触媒担体、吸着剤などへの展開が期待できる。層状相に関して色素(ピレン、アゾベンゼンなど)の導入を試みたところそのミクロ構造を保ちつつ、非常に高濃度で、且つ分子レベルで分散した状態で閉じ込めることに成功した。
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