研究概要 |
従来ほとんど解明が進んでいなかった微粒子の表面構造による界面電位、凝集状態の変化を定量的に解明し、計算機シミュレーションにより凝集体の構造まで推定できることが明らかになった。以下に具体的成果を示す。 1、各種超微粒子の凝集特性の定量的評価と表面のキャラクタリゼーション 気相法および金属アルコキシドから液相合成段階での制御条件により粒子径や粒度分布、形状などが異なるシリカ超微粒子を用いて、溶液のpH、対イオン濃度などの変化に伴う凝集挙動をレーザー光子相関法,遠心沈降法により液中での凝集粒子径を求めた。合成粒子の一次粒子径は透過型電子顕微鏡により正確に求め、凝集粒子径との比較により凝集度を定量的に評価し、粒子の表面構造を拡散反射FT-IRにより、表面電位はレーザートップラー型ζ電位測定装置により測定し、凝集挙動との相関を求めた結果、金属アルコキシドから合成した粒子は、表面に水素結合したシラノール基が多く存在し,厚い構造水を持つために,2,30nmの超微粒子でも合成溶液中で粒子が凝集を起こさないことを確認した。 2、DLVOモデルを用いた多粒子系離散要素法による凝集過程のシミュレーション 界面電気二重層に基づいたDLVO理論を直接適用した多粒子系での離散的シミュレーションプログラムを作製し、ブラウン運動条件と粒子間の相互作用を変化させてシミュレーションを行い、上述の実験結果を再現しうる最適のシミュレーション条件を求めることに成功した。さらに、実験で求めた凝集粒子径を再現できる条件でシミュレーションを行い,実験的に解析が困難な凝集体の構造がフラクタル次元などにより定量的に評価できた。以上の結果から、合成段階での粒子の保存環境による粒子集合状態の制御方法の確立を試みた。
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