研究課題/領域番号 |
06855093
|
研究種目 |
奨励研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
工業分析化学
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
原田 明 東京大学, 工学部, 助手 (90222231)
|
研究期間 (年度) |
1994
|
研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
|
配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1994年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
|
キーワード | 超高速分光 / 光熱変換分光 / 過渡レンズ / 無輻射緩和 / 温度レンズ / βカロチン / 光カー効果 |
研究概要 |
本研究では、非発光性物質を対象として光の照射後の動的挙動を研究するための新しい計測法を提案する目的で、装置開発と応用的検討を行った。非発光性物質の高感度検出に優れる光熱変換分光法の手法をベースに、数百フェムト秒に至る高い時間分解能で無輻射緩和過程の計測を可能とする実験装置系の開発に成功した。主に、各種純溶媒、βカロチンヘキサン溶液、チトクロムc水溶液を対象とした検討を行い、以下の成果を得た。 (1)150fs幅のパルスレーザーを光源として熱レンズ測定配置で装置を組み、光学系・電気系・機械系・データ処理系の検討を行い、再現性良く系統的にデータ取得できる装置を完成した。これにより、約200fsの時間分解能で、光誘起屈折率変化を捕らえることに成功した。特に、符号が直接特定できること、偏光面の分離できること、0.1nJ/パルスの低エネルギーで測定できることなど、これまでにない特徴を持つ手法であることが見出された。 (2)この装置を用いて、溶媒、溶質、光強度、偏光面、光波長等をパラメータとして幾つかの系統的な測定を行った。特に、二硫化炭素、水などの純溶媒と、マラカイトグリーン水溶液、塩化鉄水溶液について検討した。特に、塩化鉄水溶液では酸化状態の違いが数十ピコ秒域の高速応答に大きく影響することを見出している。 (3)光合成に関連する色素であるβカロチンのヘキサン溶液、水中のヘムタンパク質(チトクロムc水溶液)系を対象として検討した。特に前者で、これまでの報告だけでは説明しきれない応答を得ている。 (4)理論的な考察から、無輻射緩和で生じる熱がもたらす屈折率変化として予想される温度レンズの形成過程に関して理論的に厳密に取り扱い、信号立ち上がり時間と緩和速度を関連づけた。速い時間領域では光カー効果の応答が強いため、実験的には温度レンズらしき信号を得てはいるものの、その特定は今後の課題である。
|